【2026年度版】労務担当者が押さえるべき助成金の改正ポイント

厚生労働省では毎年さまざまな助成金制度の見直しが行われています。

助成金は、従業員の雇用維持や職場環境の改善、人材育成、仕事と家庭の両立支援などに取り組む企業を支援する制度ですが、近年は制度を作るだけ」ではなく、「実際に活用されていること」や「効果が出ていること」が重視される傾向にあります。

2026年度の改正では、情報公開の促進、設備投資との連携、賃上げ支援の強化、育児支援制度の利用実績重視などが大きな特徴となっています。

今回は、企業にとって活用機会の多い以下の4つの助成金について、改正ポイントを分かりやすく解説します。

  • キャリアアップ助成金(正社員化コース)
  • 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)
  • 働き方改革推進支援助成金
  • 両立支援等助成金

1.キャリアアップ助成金(正社員化コース)

制度の概要

キャリアアップ助成金は、有期雇用や無期雇用の契約社員、パート・アルバイトなどの非正規雇用労働者を正社員へ転換した企業に支給される助成金です。
人材確保が難しい昨今、優秀な人材を正社員として定着させるために活用している企業も多い制度です。

2026年度の改正ポイント

今回の改正では、新たに「情報公開加算」が創設されました。
企業が有期契約労働者の処遇改善状況を外部に公表することで加算を受けられる仕組みです。

加算対象
2026年4月8日以降に正社員へ転換した従業員に関する申請

加算額
・中小企業:20万円
・大企業:15万円
(1事業所につき1回限り)

公表方法
次のいずれかで情報公開を行います。
・自社ホームページ
・厚生労働省の職場情報総合サイト「しょくばらぼ」

2.人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)

制度の概要

DX化や新規事業展開、グリーン・カーボンニュートラル化などに対応するため、人材育成を支援する助成金です。
従業員への研修費用だけでなく、研修期間中の賃金の一部についても助成を受けることができます。
近年はAI活用や業務のデジタル化を進める企業も増えており、非常に注目度の高い助成金です。

2026年度の改正ポイント①

設備投資加算の新設
今回の改正で最も大きな変更点が「設備投資加算」です。
研修を実施した後、その事業展開に必要な設備や機器を導入し、一定の賃金引上げを行った場合には、設備導入費用の50%が助成されます。対象は中小企業のみとなります。

例えば、

  • DX推進のためのシステム導入
  • 新規事業に必要な設備購入
  • グリーン化に対応する機器導入

などが考えられます。
従来は「研修だけ」が対象でしたが、今後は「研修+設備投資」を組み合わせることで、より大きな支援を受けられるようになりました。

2026年度の改正ポイント②

対象訓練の拡充
2026年3月から、対象となる訓練の範囲が拡大されました。
従来は現在従事している業務との関連性が重視されていましたが、「将来従事する予定の業務に必要な知識や技能の習得」も対象となります。
そのため、

  • 将来の管理職育成
  • DX担当者の育成
  • 新規事業部門の人材育成

などにも活用しやすくなりました。

3.働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)

制度の概要

中小企業を対象に、
☑長時間労働の削減
☑年次有給休暇取得促進
☑特別休暇制度の導入
などを支援する助成金です。
労務管理ソフトや勤怠管理システムの導入費用なども対象となるため、利用実績の多い制度です。

2026年度の改正ポイント①

賃上げ加算の拡充
従業員数10人未満の企業に対する支援が強化されました。
これまで、
・5%以上の賃上げ
・7%以上の賃上げ
を実施した場合、加算額は通常の2倍でした。今回の改正では、従業員10人未満の企業は2.5倍の加算を受けられるようになりました。
特に小規模事業者にとっては大きなメリットといえるでしょう。

2026年度の改正ポイント②

割増賃金率引上げ加算の新設

新たに、残業代の割増率を引き上げた企業に対する加算制度が創設されました。例えば、

☑月60時間以内の時間外労働に対する割増率を5%以上引き上げる
☑残業時間そのものを削減する
などの取り組みを行うことで加算対象となります。単なる制度整備だけではなく、実際の労働環境改善を促す改正といえるでしょう。

4.両立支援等助成金(柔軟な働き方選択制度等支援コース)

制度の概要

育児や介護を行う従業員が働きやすい職場づくりを支援する助成金です。
この制度では、
☑テレワーク
☑時差出勤
☑短時間勤務
☑子の看護等休暇制度
などの柔軟な働き方制度を導入し、従業員が実際に利用した場合に助成を受けることができます。

2026年度の改正ポイント①

子の看護等休暇制度有給化支援の要件追加
従来は制度を有給化するだけで支給対象となっていました。しかし今回からは、対象従業員が実際に10時間以上利用することなどが要件として追加されました。
つまり、「制度を作っただけ」ではなく、「従業員が利用していること」が重視されるようになっています。

2026年度の改正ポイント②

障害児等要配慮支援加算の新設
障害のある子どもや医療的ケア児を養育する従業員への支援を目的として、新たな加算制度が設けられました。
対象となる制度の利用期間を、子どもが18歳になる年度末まで延長した場合、20万円の加算を受けることができます。

まとめ

2026年度の助成金改正では、

  • 情報公開の促進
  • DXや新規事業に向けた設備投資支援
  • 小規模事業者への賃上げ支援強化
  • 育児支援制度の実利用重視

といった方向性が明確になっています。
特に近年は、「制度を導入しただけ」では助成対象とならず、実際の利用実績や成果が求められるケースが増えています。
また、多くの助成金では事前の計画届や就業規則の整備が必要となります。
制度導入後では申請できない場合もあるため、助成金活用を検討される際は早めの準備が重要です。

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