【2026年度版】労働保険の年度更新がはじまります
毎年この時期になるとやってくる「労働保険の年度更新」。
2026年度(令和8年度)の労働保険年度更新の受付は、6月1日から7月10日までです。申告と納付を期限内に行わないと延滞金などのリスクもあるため、早めの準備が重要です。
今回は、労働保険の年度更新について、初めて担当する方でも理解できるように、制度の基本から2026年度の変更点までわかりやすく解説します。
労働保険の年度更新とは?
まず、「労働保険」とは何かを確認しましょう。
労働保険とは、労災保険と雇用保険の2つの保険の総称です。

雇用保険は、従業員が失業した際などに生活や再就職を支援する制度です。
一方、労災保険は、仕事中や通勤中のケガ・病気・死亡などに対して補償を行う制度です。
これらの保険料について、
- 前年度分の精算
- 新年度分の概算申告
をまとめて行う手続きが「年度更新」です。従業員を雇用している事業所は原則として毎年手続きが必要になります。
なぜ毎年手続きが必要なの?
労働保険料は、従業員へ支払った賃金額によって決まります。
しかし、前年の時点では実際の賃金総額が確定していないため、まず見込み額で保険料を納付しています。
そのため年度更新では、
① 前年度の保険料を確定
実際に支払った賃金額をもとに保険料を再計算
↓
② 差額を精算
払い過ぎなら充当・還付
不足なら追加納付
↓
③ 新年度の概算保険料を申告
という流れになります。
労働保険料の計算方法
保険料は次の計算式で算出します。
賃金総額 × 保険料率
非常にシンプルですが、「賃金総額」の考え方には注意が必要です。
労働保険料の計算に含める賃金と含めない賃金があります。賃金、手当、賞与など名称にかかわらず、労働の対償として支払うすべてのものが対象となります。

また、「まだ支払っていないから対象外」ではありません。
その期間中に支払が確定している賃金であれば、実際の支払日が後でも対象となります。
労災保険と雇用保険では対象者が違う
年度更新で意外と間違いやすいのが、対象者の違いです。正確な保険料を計算するには、賃金集計の際に対象となる従業員を正しく選定しなければなりません。そのため、まずは労災保険、雇用保険それぞれについて対象となる従業員を抽出しておくことが重要です。

そのため、「労災保険の対象者」と「雇用保険の対象者」が一致しないケースも少なくありません。年度更新前に対象者の確認をしておくことが重要です。
2026年度の変更点
① 雇用保険料率が引き下げ
2026年度の大きな変更点は、雇用保険料率です。
2026年4月から、前年度より0.1%引き下げとなりました。
ここで注意したいのは、年度更新では2種類の料率を使うことです。
- 確定保険料(2025年度分)→旧料率
- 概算保険料(2026年度分)→新料率
で計算する点です。実務上、もっとも間違いやすいポイントのひとつです。
② 電子申請義務企業は封筒が届かない
これまで年度更新の時期になると、「緑色の封筒が届いた」という企業も多かったと思います。
しかし2026年度から、電子申請が義務付けられている企業には、従来の申告書が送付されなくなりました。
代わりに、「電子申請情報通知書」が送付されます。
通知書には、
- 労働保険番号
- アクセスコード
など、電子申請に必要な情報が記載されています。「申告書が届かないから対象外だと思っていた」という誤解には十分注意しましょう。
年度更新で確認したい3つのポイント
① 対象者の確認
まずは、【労災保険対象者】 【雇用保険対象者】 を整理します。特にパートやアルバイトが多い企業は要注意です。
② 賃金集計の確認
対象となる賃金と対象外の賃金を正しく区分します。通勤手当や賞与の漏れは意外と多いため、給与台帳と照らし合わせながら確認しましょう。
③ 申告書記載内容の確認
年度更新書類に同封されている申告書には、以下のとおり労働保険料に関する重要な情報が記載されています。
電子申請を利用する場合も、事前確認が欠かせません。

口座振替を活用すると便利
毎年の年度更新で、「納付を忘れそう」「金融機関へ行く時間がない」という企業も多いでしょう。
そんな場合は口座振替がおすすめです。
口座振替を利用すると、
✅ 金融機関へ行く手間が不要
✅ 納付漏れを防げる
✅ 延滞金リスクを減らせる
✅ 納付書より引落日が遅く資金繰りに余裕ができる
といったメリットがあります。
まとめ
年度更新は、毎年発生する定例業務です。円滑な申告には必要書類の早期収集が重要となります。
特に2026年度は、
- 雇用保険料率の引下げ
- 電子申請義務企業への紙申告書送付廃止
という重要な変更があります。
申告期限は2026年7月10日(金)です。期限直前になると準備が間に合わないこともありますので、早めの賃金集計と書類確認をおすすめします。
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(監修:社会保険労務士・尾形達也)


