雇用保険被保険者資格取得届について

従業員が雇用保険に加入するための届け出

雇用保険とは労働保険の一種で、失業給付育児給付の他、雇用保険二事業と呼ばれる雇用安定事業能力開発事業などを目的とした制度です。労働者が失業した場合、それまで通り働き続けることが難しくなってしまった場合の支援や、そもそもの失業予防、労働者の福祉の増進などのために、雇用保険は存在しています。

そんな労働者にとってはとても大切な保険である雇用保険ですが、労働者がそれに加入するためには事業主が「雇用保険被保険者資格取得届」というものを提出する必要があります。

万一この手続きを事業主が怠った場合、当該労働者が今後失業したり、働けなくなってしまった際に、本来は貰えるはずだった給付金などを受け取ることができず、非常に困ったことになってしまうでしょう。

また、うっかり保険の加入手続きが遅れるなどして、申告・納付が定められた期限に間に合わなかった場合は、保険料の10%の追徴を受ける可能性もありますので、事業主自身のためにも、従業員のためにも、雇用保険被保険者資格取得届はしっかりと期限内に提出することがとても大切なのです。

この記事では、雇用保険被保険者資格取得届の提出先期限の説明、被保険者資格の有無の判断方法についてなどを解説していきます。

雇用保険被保険者資格取得届とは

雇用保険被保険者資格取得届は、雇用保険の適用事業所が新たに従業員を採用し、その従業員が雇用保険の被保険者資格を有すると判断できた場合か、既に雇用している従業員が勤務形態や勤務時間の変更によって雇用保険の被保険者となった場合に、事業所を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)に提出するものです。

ここでまず注意しなければならないのは、雇用保険は、雇用形態や雇用契約の内容によって、加入有無や種別確認をしなければならないということです。

雇用保険の被保険者とは

雇用保険の被保険者とは、雇用保険の適用事業所にて雇用されている従業員で、雇用保険法によって適用を除外されている人間を除く者のことを言います。この際、労働者の意思や事業主の意思に関係なく、加入対象の従業員は雇用保険の被保険者となり、雇用保険料納付の必要が生じます。

また、雇用保険の被保険者種別には4種あり、具体的には以下の通りです。

①一般の被保険者

雇用保険適用事業所に採用された正社員・正職員などの期間を定めず雇用されている者、または期間を定めて雇用された者で以下の条件を満たしている場合は雇用形態や雇用名称にかかわらず被保険者となります。

・1週間の所定労働時間が20時間以上

・31日以上引き続き雇用されることが見込まれる

②短期雇用特例被保険者

季節的に雇用される者や、雇用される期間が常に1年未満など短期の雇用に就くことを常態とする者。

③日雇労働被保険者

日々雇用される者、または30日以内の期間を定めて雇用される者。ただし、前2カ月の各月で18日以上同じ事業主に雇用されている場合は、その翌月の最初の日から例外的に一般の被保険者になります。

④高年齢被保険者

65歳以上で、「短期雇用特例被保険者」「日雇い労働被保険者」に該当しない者。

雇用保険の被保険者とならない者

一方、法律によって適用を除外されている「被保険者とならない者」は以下の通りです。

①法人の代表者・役員

株式会社・有限会社の代表取締役、合名会社の社員、合資会社の無限責任社員、合同会社の代表社員、会社の取締役、監査役などの役員、外国会社の日本における代表者。

ただし、代表者以外の役員であって同時に会社の部長、支店長、工場長などの従業員としての身分も有する者で、報酬支払などの面から見て「労働者」としての事業主との雇用関係が認められる場合は、被保険者となり得ます。この場合、実態の確認のために公共職業安定所へ書類等の提出を行う必要があります。

②各種団体の役員

協同組合、農業協同組合などの役員、社団もしくは財団法人の役員その他各種団体の役員。ただし、この場合も法人の代表・役員などと同様、労働者としての身分と実態が伴えば、書類の提出によって被保険者となることも可能です。

③同居の親族

個人事業の事業主と同居している親族は、原則として被保険者になれません。

また、法人であっても実質的には代表者の個人事業であると認められる事業内容の場合も、代表者と同居している親族は被保険者となりません。

ただし、関係書類の提出等によって以下の全ての事項が認められた場合は、被保険者となる場合もあります。

・業務を行う際、事業主との間に明確な指揮系統があり、その命令等に従っていることが確認できること。

・就業の実態が該当事業所のその他の従業員と同様であること。具体的には、就業時間や休憩時間、休暇、賃金の算出・支払い方法に他の従業員たちとの違いがなく、管理されていること。

・事業主と利益を一にする地位(取締役)などに就いていないこと。

④季節労働者のうち所定労働時間が短い者

季節的な業務に4か月以内の期間を定めて雇用される者で、その事業所に雇用されている通常の従業員に比べて1週間の所定労働時間が短く、かつ30時間未満の者。

⑤日雇労働者

他に生計を立てる手段があるなど、臨時・内職的に日雇労働を行う場合は、「日雇労働被保険者」にはなりません。

⑥在日外国人

原則として被保険者になりますが、外国公務員及び外国の失業保険(補償)制度の適用を受けていることが立証された場合は、被保険者となれません。

⑦海外で働く人

国外の事業所にて現地採用されている場合、被保険者になることはできません。

一方で国内の事業所で雇用されたまま、出張・派遣・出向という形で国外にて就労する場合は、国内の事業主との雇用関係が継続している限り被保険者となります。

⑧外務員(外交員)など

事業主とは雇用関係ではなく、委任関係を結んでいる場合、被保険者にはなれません。

ただし、職務の内容や服装の態様、賃金の算出方法などから総合的に判断し、事業主との間に明らかな雇用関係が認められた場合、その支配拘束を受けている者は被保険者となります。

⑨昼間学生

学校の学生生徒で昼間は学生の者は被保険者にはなれません。

ただし、昼間は学生であっても、以下の事項に該当する場合は被保険者となります。

・休学中の者。

・卒業見込証明書を有する者で、卒業前に就職し、卒業後も引き続き同一の事業所に勤務する予定の者。

・事業主の命により、事業主の証人を受けて、雇用関係を継続したまま大学院等に在学する者。

・一定の出席日数を課程修了の要件としていない学校の生徒で、同事業に従事する他の従業員と同様に勤務し得ると判断できた場合。(学校当局の証明があるとき)

⑩家事使用人

原則として被保険者にはなれません。

⑪複数の事業主に雇用されている者

雇用保険の被保険者資格は重複取得できないため、生計をたてる上で主になっている賃金が発生している事業所においてのみ、被保険者となることができます。それ以外の事業所においては、被保険者となることができません。

雇用保険被保険者資格取得届の提出について詳細

<提出先>

実際に事業を行っている事業所の所在地を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)

<提出期限>

社員として採用した日の属する月の翌月10日まで

<添付・確認書類>

社会保険労務士、労働保険事務組合を通じて提出される場合は、原則として不要です。

<提出者>事業主

手続きに不安がある際はご相談ください

新しく従業員を採用した際、あるいは雇用中の従業員の雇用形態・労働時間などが変更され、被保険者資格者に該当するようになった際には、事業主は速やかに「雇用保険被保険者資格取得届」を、公共職業安定所へと提出しましょう。ここで手続きを怠ると、従業員の信頼を損ねる結果にも繋がってしまいます。

その際、公共職業安定所は提出された書類の正確性の確認などは行いませんので、加入手続きをスムーズに終わらせるためにも、記入内容は慎重にご確認ください。

もし手続きに不安がある、対象従業員の被保険者資格の有無の判断が難しい場合など、ご心配ごとがございましたら、ぜひ社会保険労務士などの専門家へご相談ください。クルーズ株式会社(クルーズ社会保険労務士・行政書士事務所)では、雇用保険の加入手続きをはじめ、各種手続きや申請を承っております。

ご相談はいつでも無料! お気軽にご連絡ください。

クルーズ株式会社(クルーズ社会保険労務士・行政書士事務所)

電話番号:045-334-8240

(監修:社会保険労務士・尾形達也)