雇用保険被保険者離職証明書ついて
雇用保険被保険者離職証明書とは
「雇用保険被保険者離職証明書」とは、従業員が退職した際に「雇用保険被保険者資格喪失届」に添付し、所轄の公共職業安定所へ提出するものです。これによって退職した従業員は公共職業安定所から「離職票」(雇用保険被保険者離職票)を発行され、失業の給付を受けられることになるため、非常に重要な証明書だと言えます。
退職者本人が雇用保険被保険者離職証明書の交付を希望しなかった場合は、発行を省略することができますが、その後、その退職者が改めて交付を希望した場合、事業主は速やかにこれを発行しなければなりません。
ただし、退職者が退職日において満59歳以上の場合は、本人が交付を希望しなくとも、雇用保険被保険者離職証明書を必ず交付します。
雇用保険被保険者離職証明書の書き方
雇用保険被保険者離職証明書は、全16の項目からなる様式となっており、基本的には事業主側で記入しますが、一部には退職者本人に署名・捺印をしてもらわなければならない項目もあります。
今回は、どのような情報が手元にあれば雇用保険被保険者離職証明書を書くことができるのかという確認の意味も含めて、各項目について解説していきます。
① 被保険者番号
雇用保険被保険者番号は、退職者の雇用保険被保険者証に記載されています。
② 事業所番号
雇用保険事業所番号は、雇用保険適用事業所設置届事業主控などに記載されています。
③ 離職者氏名
④ 離職年月日
当該従業員が実際に退職した日を書きます。こちらに記載する日付は、「雇用保険被保険者資格喪失届」と同様の日付となりますので、ご注意ください。
⑤ 事業所名称/所在地/電話番号
⑥ 離職者の住所又は居所
⑦ 離職理由
5分類19項目の中から選び、〇をつけ、併せて「具体的事情記載欄(事業主用)」に、具体的な離職理由も書きます。この際、事業主と退職者の離職理由に関する行き違いなどがあると、⑯欄にて「異議有り」に〇をつけられる他、様々なトラブルが発生する可能性もありますので、離職理由については事前にしっかり話し合うようにしておきましょう。退職願や退職届をしっかりと提出してもらうこともおすすめです。
⑧ 被保険者期間算定対象期間
被保険者期間を算定するための期間で、離職日以前2年間のうち、⑨欄の基礎日数が11日以上になる完全月を12カ月分記入してください。
⑨ ⑧の期間における賃金支払基礎日数
月給制の従業員の場合は1カ月の全日数を、時給制や日給制の従業員の場合はその月の実働日数を記入してください。
⑩ 賃金支払対象期間
賃金の締切日の翌日~賃金の締切日に応答する期間を記入します。⑪欄の基礎日数が11日以上になる完全月の情報を6カ月分記入する必要があります。
⑪ ⑩の基礎日数
実際に賃金支払いの基礎となる日数を記入します。ここでは、有給休暇の取得日や休業手当の対象日なども含めます。
⑫ 賃金額
月給制の場合の賃金はⒶ欄に、時給や日給制の場合はⒷ欄に記入してください。
交通費は、数カ月分まとめて受け取っていた場合、月単位で割って、該当月の賃金に含めてください。
⑬ 備考
未払いの賃金がある場合はここに記入してください。ない場合は斜線を引いてください。
⑭ 賃金に関する特記事項
各月の賃金の変動が激しい場合の理由など、ここに記入してください。
⑮ この証明書の記載内容(⑦欄を除く)に相違がないことを認める退職者本人の署名と捺印
退職者が出社を拒否している、あるいは出社すること、事業主側と顔を合わせることが難しいなどの理由で本人の署名・捺印を得られない場合にはその理由を明記し、事業所の代表者印を押印しましょう。
⑯ ⑦欄で事業主が〇をつけた離職理由について、退職者本人の異議が「有り」か「無し」かの確認
以上の項目を記入し、各人の離職理由に対応した必要書類を別途用意します。
例えば、雇用契約期間の満了による離職であれば労働契約書や契約更新通知書、定年ならば就業規則、退職者の自己都合であれば退職届や出勤簿などがそれにあたります。
もし離職理由が特殊でどんな書類を添付すれば良いかわからないという場合などは、所轄の公共職業安定所か、社労士などの専門家へ質問してみると良いでしょう。
提出についての詳細
≪提出先≫
所轄の公共安定所(実際に事業を行っている事業所の所在地を管轄するハローワーク)
≪提出期限≫
被保険者でなくなった翌日から起算して10日以内
≪添付・確認書類≫
・雇用保険被保険者資格喪失届
・賃金台帳
・出勤簿
・疾病等を理由に30日以上賃金が受け取れない状況の場合は医師の診断書など
・その他、離職理由がわかる書類(離職理由によって異なる)
≪提出者≫
事業主
離職票の発行に、離職証明書の提出は必須
自分が雇用保険に加入していたという方は、退職する際には必ず、雇用保険被保険者離職証明書の提出を事業主に依頼しましょう。事業主によっては退職者からの依頼を受けるまでもなく、公共職業安定所に離職証明書を提出し、離職票の発行まで行ってくれる場合もあります。
退職者本人の署名や捺印欄以外、離職証明書の記入は基本的に事業主が行うことになります。離職票の発行は、雇用保険被保険者離職証明書や雇用保険被保険者資格喪失届を公共職業安定所へと提出してから2~3週間かかる目安となりますので、少しでも早く退職者が離職票を受け取ることのできるよう、事業主は定められた提出期限を守るだけではなく、出来るだけ早めに手続きを行うことをおすすめします。
とは言え、日々の業務もある中で、退職者の手続きを早めに、余裕を持って行うことは、事業主にとっては大変な負担かも知れません。そんな時にはぜひ、労務の専門家へとご依頼ください。
クルーズ社会保険労務士・行政書士事務所では、「雇用保険被保険者離職証明書」をはじめとした各種手続きや申請の代行、毎月発生する給与計算などの人事労務業務などを承っております。その他、助成金、認証関係に関するご相談やサポートなども幅広く受け付けており、人事・労務・法務の三面からお客様を徹底サポート可能です。労務の専門知識を持ったスタッフが、しっかりとお話しを伺った上で迅速にお手続き致しますので、安心してお任せください。
また、お客様のパートナーとして共に歩む顧問社労士のご相談も随時お受けしております。クルーズグループの代表でもある社会保険労務士が、社労士と経営者という2つの視点から各種サポートさせていただきますので、日々労務に関してお悩みの事業主様は、ぜひ一度ご相談ください。
お問合せ・お見積り・ご相談は無料です!お気軽にお電話ください。
クルーズ株式会社(クルーズ社会保険労務士・行政書士事務所)
電話番号:045-334-8240
(監修:社会保険労務士・尾形達也)