受給期間・教育訓練給付適用対象期間・高年齢雇用継続給付延長申請書について

受給期間・教育訓練給付適用対象期間・高年齢雇用継続給付延長申請書とは

「受給期間・教育訓練給付適用対象期間・高年齢雇用継続給付延長申請書」とは、所謂「失業等給付」受給期間の延長申請を行う際、なんらかのやむを得ない事情で受給のための要件を満たすことが出来なかった人が、その受給期間を延長してもらうために公共職業安定所へ提出する申請書です。

失業等給付とは

失業等給付とは、雇用保険の制度によって賄われている以下4種の給付のことを指します。

・求職者給付

・就職促進給付

・教育訓練給付

・雇用継続給付

失業の予防と雇用状態の是正及び雇用機会の増大をはかる「雇用安定事業」と、労働者の能力開発とその向上を目指す「能力開発事業」は、雇用保険二事業と呼ばれる柱であり、各種の失業給付もまたその一環と言えます。

失業給付は、雇用保険の被保険者が、なんらかの事情(自己都合、定年、倒産、契約満了など)により離職した際、失業中の生活を支え、失業者の技能を教育訓練することで雇用の安定、就職の促進を促すためのものであるからです。

また、それぞれの給付についての解説は、以下の通りです。

≪求職者給付≫

被保険者が離職し、失業状態にある場合に、失業者の生活の安定を図るとともに、求職活動を容易にすることを目的として支給されるもので、失業補償機能をもった給付のことを言います。

≪就職促進給付≫

失業者が再就職するのを援助、促進することを主目的とした給付です。

≪教育訓練給付≫

労働者や失業・求職中の人間が、厚生労働大臣が指定する教育訓練講座を修了できた場合、その受講のために支払った費用の一部が支給されるというものです。

≪雇用継続給付≫

労働者の職業生活が円滑に継続されるよう、援助、促進することを目的とした給付です。

どんな時に延長申請できるのか

離職者が失業給付を受けることのできる期間は決まっており、原則、離職日の翌日から1年間なります。

また、失業給付の受給には、前提として「失業状態」であることが求められており、失業状態とは、

・積極的に就職しようという意思がある

・いつでも就職できる能力(健康状態・環境等含め)がある

・積極的に仕事を探しているにもかかわらず、現在職業に就いていない

という条件を満たしていなければなりません。

しかしながら、以下のようなパターンで定められた期間内に就職が出来なかった場合、「受給期間・教育訓練給付適用対象期間・高年齢雇用継続給付延長申請書」を提出することで、原則としての受給期間である1年間を最大で4年まで延長することが可能です。

① 妊娠・出産・疾病・負傷などの理由によって、離職後30日以上引き続いて就業することが出来ない場合

② 60歳以上で、定年等の理由によって一定期間求職の申込をしないことを希望する場合

ただし、60歳以上の定年等が理由での延長は、最大2年までの延長になりますのでご注意ください。

申請についての詳細

≪提出先≫

申請者の住所地を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)

≪提出期限≫
  • 働くことができなくなった期間が30日を超えた日からなるべく早く
  • 60歳以上の定年等の理由による場合は離職後2カ月以内
≪添付・確認書類≫
  • 職業安定所に求職の申込をする前であれば、離職票
  • 既に求職の申し込みをした後の場合は、受給資格者証
  • 病気の場合は医師の診断書
  • 出産の場合は母子手帳
≪提出者≫

基本的に、延長を希望する本人(郵送等も可)

離職していく従業員にはぜひ説明を!

「受給期間・教育訓練給付適用対象期間・高年齢雇用継続給付延長申請書」の提出は、基本的に離職者本人が行うものであり、事業主には提出の義務がありません。しかしながら、特に妊娠・出産等で離職していく場合は、離職後すぐに就職活動や再就職をしないことは明らでもありますので、事業主のほうから、この延長制度について説明や指導を行ってあげると親切でしょう。

人事・労務の情報は専門性が高く、それでいて多岐に渡ります。そのため、多くの事業主様は自分自身に直接関係のない情報までは、追いかけきれないというのが本音かも知れません。

しかしながら、いくら自分自身には関係のない情報だと言っても、全く従業員の目線に立たずにいれば、思いがけない切っ掛けで信頼を失ってしまうこともあるでしょう。

従業員にして欲しいこと、従業員が離職後にしたほうが良いことを、事前にしっかりと指導することが出来れば、後日トラブルが発生する可能性も低くなり、結果的に事業主側にとっても利になるはずです。

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(監修:社会保険労務士・尾形達也)