昨今の「法定福利費」増加の流れについて

事業主が負担する「法定福利費」は今後も増加し続ける!?

令和4年、2度にわたって雇用保険料が引き上げられました。その背景には、コロナ禍によって支出が激増した雇用調整助成金の存在がありますが、そもそも、年々増加する政府の社会保障の支出に伴い、事業主・労働者双方が負担する「法定福利費」の増額という流れは、これからもいっそう避けられないものになっていくでしょう。

今回の記事では、年々確実に増加していくなかで、今後もさらに増えていくと思われる「法定福利費」についての解説と、その増額に対して企業はどう対応していくべきなのかというお話をしていきます。

法定福利費とは

法定福利費とは、企業が従業員の福利厚生のために支払う費用のうち、法律で義務付けられているものにかかる費用をいいます。逆にそれ以外の企業が独自に設定した福利厚生にかかる費用は法定外福利費と呼ばれており、例えば住宅手当、家賃補助、健康診断の費用、社員寮公費などがこれに当たります。

法定福利費は、具体的には社会保険料、労働保険料の事業主負担分のことを指し、下記の7種類が該当します。

①健康保険料
②介護保険料
③厚生年金保険料
④子ども・子育て搬出金
⑤雇用保険料
⑥労災保険料
⑦障がい者雇用納付金

また、それぞれの料率は以下の通りです。

社会保険料 健康保険料 標準報酬月額を元に地域・加入している健康保険組合などによって料率が異なる。

(協会けんぽ・東京都の場合は標準報酬月額の4.905%)

介護保険料 地域・加入している健康保険組合などによって料率が異なる。

(協会けんぽ・東京都の場合は標準報酬月額の0.82%)

厚生年金保険料 標準報酬月額の9.15%

(厚生年金保険料額表参照)

子ども・子育て搬出金 標準報酬月額の0.36%
労働保険料 雇用保険料 賃金総額の0.85%~1.05%(事業主負担分)

※労働者負担部含む場合は、賃金総額の1.35%~1.65%

労災保険料 賃金総額の0.25%~8.8%

(労災保険率表参照)

つまり、令和4年10月に社会保険の適用範囲が拡大したこと、また同じく10月に雇用保険料の引き上げが行われたことによって、各企業が支払う法定福利費の総額は、確実に増加しているのです。

広がっていく社会保険の適用範囲

令和4年10月、従業員が101人以上の企業を対象に、社会保険の適用拡大が行われました。適用拡大の対象となった企業では、以下の条件を満たす全ての従業員が、社会保険の加入対象となっています。

  • 所定の労働時間が週20時間以上
  • 月額賃金が8万円以上
  • 2カ月を超える雇用の見込みがある
  • 学生ではない

また、この適用拡大は今後も予定されており、令和6年10月に従業員51人以上の企業までその対象範囲は拡大されていくことになっています。

これは、政府による社会保険加入者を増加させることを目的とした施策であり、将来的には1人でも多くの国民年金加入者を社会保険加入者とし、同時に現行の社会保険制度を現代の労働事情に適合させるために必要な取り組みだと言われています。

つまり、今後はさらに対象の従業員の規模や月額賃金に関する条件が改められ、いっそう社会保険の適用範囲が広がっていく流れになると言えるでしょう。

雇用保険料の引き上げ

労働者の失業予防や福祉の増進などが目的の制度である雇用保険は、前述した通り、このコロナ禍において「雇用調整助成金」の支払いという大きな支出がありました。その財源確保のため、令和4年には2段階にわたる雇用保険料の引き上げが行われ、各企業には大きな衝撃を与えたことでしょう。

具体的な雇用保険料の、事業種ごとの事業主負担金額の推移は以下の通りです。

  ~令和4年3月31日 令和4年4月1日~9月30日 令和4年10月1日~令和5年3月31日
一般の事業 6.0/1000 6.5/1000 8.5/1000
農林水産・清酒製造の事業 7.0/1000 7.5/1000 9.5/1000
建設の事業 8.0/1000 8.5/1000 10.5/1000

今こそ専門家による労務の見直しを

社会保険料の増加、雇用保険料の引き上げなど、法定福利費の増加にともない、各企業は従業員が多ければ多いほど、支払わなければならない保険料も多くなっています。そのせいで、単純に従業員を抱えることへのコストが増しているように感じてしまう事業主の方もいらっしゃるでしょう。

確かに、法定福利費というのは、企業の売り上げではなく従業員の給与と連動しています。令和4年10月に最低賃金が改定されたことも相まって、事業主が支払わなければならない法定福利費は、各企業の業績にかかわらず、確実に増加しているでしょう。

しかしこれは裏を返すと、企業の利益を伸ばすことで、法定福利費の負担は軽減させることができるということです。

例えば社内のIT化、DX(デジタル革新)を進めることで業務フローを効率化し、労働者の生産性を高めたり、労務を最適化させることで企業の利益を増加させるなど、今後も法定福利費の増加が見込まれるこの時代には、欠かせない対策となっていくことでしょう。

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(監修:社会保険労務士・尾形達也)